「沈まぬ太陽」を観た。

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

某国営航空会社を舞台にした山崎豊子の小説を映画化した、「沈まぬ太陽」を観た。
小説の方はまだ読んだことがなかったので、ストーリーは事前によく知らなかったのだが、映画の方は、3時間22分もの長さをまったく長いと感じさせない出来映えの映画だった。
映画は、御巣鷹山への航空機墜落のシーンで始まり、冒頭から映画の内容に引き込まれる。
遺族への対応係を担当する主人公・恩地の現在の姿と、労働組合の委員長を務めていたことにより会社に疎んじられ、パキスタン・イラン・ケニアと海外の僻地に10年間も飛ばされた若き頃の恩地の回想シーンが交錯し、なんともやりきれない気持ちにさせられる。
やがて舞台となった航空会社は、新会長の下で再建を目指すことになり、恩地は会長室に抜擢されることとなるが、改革は半ばで終わることとなる。
自分の信念をひたすら貫き、過酷な目に合う恩地の姿と、他方で出世の道を邁進しようとし、そのためには何でもする同僚・行天の姿が対照的で、組織人としての生き方を考えさせられる。
とにかく、人生とは、家族とは、会社とは、と深く深く考えさせられる映画である。
内容が重いので、元気を出したいときにはあまり観ない方がいい映画だが、さすが山崎豊子の小説をよく映画化した、素晴らしい映画であることは間違いない。
ちょうどJAL再建が話題になっている時期でもあり、この映画も話題になると思う。