35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画


少し前の話になるが、リクルートから杉並区立和田中学校校長に転進し、〔よのなか〕科を始めた、藤原和博さんの「35歳の教科書―今から始める戦略的人生計画」を読んだ。
この本は、最近読んだ本の中では、最も人生の生き方について考えさせられる、有益な本であったと思う。
この本は、一般によくある、成長を目指す自己啓発本ではない。
「みんな一緒」の時代から、「それぞれ一人一人」の社会になっていく変化の時代において、組織に埋没するのではなく、自立した個人として人生を設計し、プランニングして、オリジナリティの高い人生を歩む生き方について説かれている。
リクルートという組織で高い業績を上げながら、病にかかり、またヨーロッパで駐在経験を過ごす中で、組織人として忙しく働く生き方を考え直すようになり、リクルートを辞め、やがて民間人校長として転進し、教育の世界に携わるようになった、そうした著者自身の経験に裏付けされた著者の考え方が、自分の生き方に絶えず問いを投げかけてくる。
自分が20代の頃にはわからなかった深い内容が、この本には書かれている。
今この本に出会ってよかったと思う。