米国の金融資本主義に思うこと

Financial Timesで、メリルリンチの元CEO、John Thain氏の追放の記事を読んだ。
この記事によると、ハーバード・ビジネス・スクールMBA、元ゴールドマン・サックス社長、そして元ニューヨーク証券取引所のトップと、華々しい、かつ、かつて公職にもあったキャリアの持ち主であるJohn Thain氏が、バンク・オブ・アメリカによる買収を決めたメリルリンチが赤字決算に陥るのを知りながら、決算発表前にメリルリンチの社員に総額40億ドルものボーナスを支払うことを決め、自らも高額のボーナスを受け取ろうとし、このメリルリンチの損失により米政府による2度目の公的資金投入などの追加支援に追い込まれたバンク・オブ・アメリカにそのつけを負わせようとした、ということで、米国の金融資本主義を動かしていた人物の倫理観を疑わざるを得ない。


こんな人物が世界の資本主義を動かしているという米国の現状は、一体どうなっているのか。
私が学んでいた米国のビジネススクールでも、エンロン事件などの反省を踏まえ、Ethicsの授業が新たに設けられたりしたが、米国人の倫理観には、果たしてその程度で十分なのだろうか?
私は資本主義は、それでも現在のところ世界経済のためには最善な仕組みであると考えているが、市場を支える倫理やガバナンスについては、(我が国もさることながら)米国においては、かなり見直されるべき点があるのではないか、と感じている。