生き方について考える読書

日曜日は、東京都美術館フェルメール展にでも行こうかと思っていたが、結局、図書館と家で読書三昧の時間を過ごす。
読んだ本の中で考えさせられた本をいくつか。

「残業ゼロ」の人生力

「残業ゼロ」の人生力


ワークライフバランスという言葉が次第に広がる一方で、巷にあふれる成功本は、いかに仕事で成功するか、とか、いかにお金持ちになるか、といった本が多いが、この本は、そういった内容ではなく、いかに充実した人生を過ごすか、そのためには現役時代からどのように準備をしておくべきか、に焦点を当てた本。
私自身、ビジネススクールに留学をしたり、仕事にとことんのめりこんだ時期もあった一方で、南フランスに留学(遊学)し、ひと夏のバカンスを過ごしてヨーロッパ流の人生の楽しみ方を学んだり、仕事のし過ぎで体調を崩して仕事を休んだりしたことがあるので、本書の内容には共感を覚えた。
ビジネススクールに留学してMBAを取得したりすると、投資銀行コンサルティング会社など、一見華やかなキャリアに転じる人も多いが、何年か経ってみると、いつの間にか仕事で体や心の調子を悪くしてしまったり、あるいはキャリアや収入上は華々しく成功を収めていても家庭は崩壊してしまっていたり、といった人も見かける。MBAを取って一流企業に入って出世して、といったことは、一見、仕事の「勝ち組」に見えても、人生全体では「負け組」になってしまっている人もいるのである。
他方、「ワークライフバランス」というと、いかにワークの力を抜いてライフの充実の日々にシフトしていくか、というような受けとめられ方もあるような感があるが、それもまた違うと思う。著者も言うように、ワークができてはじめてライフの話に移れるのであり、ワークが充実するからライフも充実する。逆ではないのである。できる人間は、仕事はできて当然であり、問題は、本当に幸せな人生を送るためには、所詮人生の一時期だけ参加するゲームに勝つことだけでなく、トータルで人生を幸せにする「人生力」をどう高めるかが、一人一人の人生にとって重要なのである。


巷に仕事の「成功術」や「金持ちになる」ための本があふれる昨今、ビジネス書としては、人生をどう生きるかを本質的に考えることができる、貴重な本である。
(既にそうしたことがわかっている人には、大した内容ではないかもしれないが)


「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー

「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー


書店で新刊として出ていた頃は、よくある自己啓発本かな、と思って買わなかったのだが、図書館で見かけてふと読んでみた本。読んでみると、さすがにビジネス書を1万冊以上読んでいる著者だけあって、普通のビジネス書より面白い視点で書かれており、なかなか面白かった。この本も、内容は平易で、買うほどの本とは思われないかもしれないが、人生の成功とは何か、ということについて考えさせてくれる。