世界は動いている。

自分が初めて中国新疆ウイグル自治区を旅したのは、確か、9年前のGW。
その頃、カシュガルは、とても牧歌的で、危険な雰囲気も特にない、遊牧民が定住してできたような、のんびりした街だった。
自分がカメラを持って歩いていると、街の人たちがみんな、「自分の写真を撮ってくれ」と笑顔で近づいてくれた。
日曜日には、羊を市場で売るために、近隣の村から、遊牧民が大勢の羊を連れてのんびり道を歩いていた。


その平和だったカシュガルで今、テロが続発していることに、哀しみを覚える。


実は、自分が訪れた当時でも、漢民族の支配に対して快く思っていない地元のウイグル人たちと話をしたことがある。
新疆ウイグル自治区の首都であるウルムチで、食堂で一緒に食事をしたウイグル人は、「お前は日本人で漢民族じゃないから話せることがある。あいつら(漢民族)とは一緒にいたくない。お前には親しみを感じる」と言っていた。
新疆ウイグル自治区のもともとの民族であるウイグル人は、以前から、漢民族の支配には快く思っていなかったのだ。
ウルムチは、その頃から、とても新疆ウイグル自治区とは思えないほど発展した都市だったが、明らかに、経済では漢民族が支配的地位にいるような感じがした。チベットと同じ構図である。
しかし、当時は、このようなテロ事件が勃発するようになるとまでは思ってもいなかった。


中国はどうやら、経済発展の一方で、中国政府(漢民族)による少数民族の支配、行政の腐敗、言論の自由の否定、格差の拡大などで、様々な矛盾を封じ込めてきており、今、北京でオリンピックが国威高揚の象徴として行われている中、こうした矛盾がテロという形で噴き出してきているのだろう。
おそらく、今後とも、こうしたテロや独立運動は起こるだろうし、中国政府はそれを封じ込めにかかるだろう。


また、グルジアでは、ついにロシアが戦争を仕掛けるまでになり、米国の一極支配の終焉を露にした。
NATO加盟の意向を標榜していたグルジアに対するロシアの動きを米国は抑えることができず、EUの議長国であるフランスのサルコジ大統領の調停で、ようやくなんとか停戦にこぎつけた。


東西冷戦の終焉後、米国一極集中の中で比較的平和な秩序が保たれていたグローバル社会は、この10年で、今、大きな変化の時を迎えている。

今後、多極化とともに不安定化するグローバル社会の中で、日本は、企業は、今後どのように対応していくべきなのだろうか。解を見つける努力が求められている。